刺されると痛い ハチのレポート 

最も危険で大きな蜂に、臆病なスズメの名前が付いているのはなんでだろう。
大きくて危険で黄色と黒といったらトラを連想するのだが・・・

ハチ=刺す と考えがちですが、無闇に人を刺しているわけではありません。ハチの種類やその時の状況によっては巣に近付いただけで威嚇、攻撃してくる場合もありますが、普通の状態なら巣を刺激したり手で捕まえたりしないかぎり滅多に人を刺すことはありません。巣を見つけても危険がないようでしたら駆除せずにそのまま見守って下さい。ハチも地球の生態系を構成する大切な一員です。

スズメバチの画像
ハチは危険? ---
 ハチは世界で10万種以上が知られていますが、人を刺すことで問題になっているのは、スズメバチ、アシナガバチなどの一部の種に限られています。
 といってもこの一部が問題なんですが・・
 これらの問題となるハチに共通することは、女王バチと多数の働きバチがいて集団生活をするということ。毒針は巣や自分を守るためのものであって、ジガバチやベッコウバチなどと違って狩りに使うことはありません。
 ちなみに毒針は産卵管が変化したものと言われています。なので刺すのは雌だけ。雄バチは刺しません。

巣には近づかない ---
 ハチが集団で攻撃体勢をとるのは巣に外敵が近づいたり攻撃を受けたと判断した場合だけです。ハチの種類によって攻撃性の強いものから弱いものまでありますが、いずれにしても巣に近づかないことが問題を避ける一番の方法です。
 巣から離れた場所で単独で食料採取などしている状態では攻撃性が少なく、そお〜っと近づけば観察も可能です。ただ大型のズメバチが樹液にたくさん集まっているような場合は少し危険ですので刺激しないよう気をつけてください。
 またススバメバチ以外のおとなしいハチでもうっかり触れてしまったり衣服の間に入って圧迫を受けた場合には刺します。これはどうしようもないですね。 (^_^;

危険なのは夏から秋 ---
 スズメバチやアシナガバチの巣は、夏から秋にかけて規模が最大になります。巣の中では次期女王バチや雄バチが育ちはじめ、巣を守るために攻撃性も高まるので、この頃に野や山に出かける時は特に気をつけてください。あまり人の通らないような場所には入り込まないほうが無難かと思います。
 またハチは匂いにも敏感で、異質な匂いに反応して警戒態勢をとることもあるようなので、香りの強い香水や整髪料などは避けましょう。
 もし気付かずにうっかり巣に近づいてしまった場合は、慌てず騒がずゆっくりその場を離れてください。急な動作はハチを刺激するので禁物です。
 それでももし不幸にして攻撃を受けてしまった場合、その時はもう一目散に逃げましょう。

巣は身近な所にも ---
 ハチの巣は野や山だけでなく住宅街や近郊の公園など、どこにでも作られている可能性があります。草刈りや庭木の手入れのとき知らずにハチの巣を刺激して刺されるという事例をよく耳にします。ハチを一度に何匹も見かけた時は近くに巣があると思って注意してください。
 また建物などの脇に寿命のつきた働きバチが何匹も転がっていたら、頭上に注意してください。その軒下に巣が作られている可能性があります。

・蜂に刺されると痛いだけでなく、体質によってはアレルギー反応によるショック症状を起こす人がいます。小さなハチでも同じこと。手当てが遅れると死亡する場合もあるので、刺された後に気分が悪くなったり視覚や意識その他全身に異常が現れたときはすぐに病院で診察を受けてください。このアレルギー症状(アナフィラキシーショック)により毎年多くの方が亡くなっています。


 スズメバチやアシナガバチの巣は、次期女王バチや雄バチが巣立つとやがて放棄されます。再び使用されることはありません。冬になれば手に取ってじっくり観察することができます。
 ただ、スズメバチの巣はアシナガバチの巣に比べてもろくて崩れやすいので、建物に作られた巣を壊さずに採取するのは難しいかと思います。


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よく間違いを載せて後で気付いたり指摘されたりして修正してます。気付いたら連絡いただけるとありがたいです。

 
スズメバチ科 スズメバチの仲間 Vespa
 日本に棲息するスズメバチは、大形のスズメバチ属、小形のクロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属の3種に大別される。一般にスズメバチというとオオスズメバチなどの大形種をさすことが多い。
 営巣場所は建物の隙間や軒下、木の枝、樹洞、地中など、種類によって様々だが、いずれの巣も巣盤の周りを外殻で囲った形態をとる。
 巣は夏から秋にかけて大きく成長し、働きバチの数も増え、次期女王バチや雄バチの幼虫が巣内で育ち始める。と同時に働きバチも攻撃的になるので、巣の存在にはじゅうぶん注意すると同時に刺激しないよう心がけたい。
 幼虫の食物として与えられるのは主に昆虫や蛾の幼虫などの動物質で、成虫はエネルギーの補給に樹液や熟した果実、ある種の花によく飛来する。
オオスズメバチ
・オオスズメバチ
ヒメスズメバチ
・ヒメスズメバチ
モンスズメバチ
・モンスズメバチ
コガタスズメバチ
・コガタスズメバチ
キイロスズメバチ
・キイロスズメバチ
チャイロスズメバチ
・チャイロスズメバチ
クロスズメバチ
・クロスズメバチ属
ホオナガスズメバチ
・ホオナガスズメバチ属


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スズメバチ科 アシナガバチの仲間 Polistes
 特別脚が長いわけではないが、飛ぶときにだらんと垂らした脚は他のハチと比べるとやや長いかなという印象を受ける。
 巣は一般によく知られているハチの巣型(よく絵に描かれるような)で、スズメバチやミツバチと同じように集団生活をする。大形のスズメバチほど攻撃的ではないが、種類によっては巣を揺らしたり刺激をあたえると反撃してくるので注意を要する。
 幼虫の食物として昆虫や蛾の幼虫などを狩り、秋には花の蜜を吸いにもよく訪れる。生活形態はスズメバチと似るが、営巣期間はスズメバチより短く、夏の終わり頃にはすでに巣がカラになっていることが多い。
セグロアシナガバチ
・セグロアシナガバチ
キアシナガバチ
・キアシナガバチ
ヤマトアシナガバチ
・ヤマトアシナガバチ
フタモンアシナガバチ
・フタモンアシナガバチ
キボシアシナガバチ
・キボシアシナガバチ
コアシナガバチ
・コアシナガバチ
ムモンホソアシナガバチ
・ムモンホソアシナガバチ


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その他の狩りをするハチひとまとめ
 これらのハチは集団生活をせず、雌が単独で巣を作る。幼虫の食べ物となるのは蛾などの幼虫やクモ類などだが、スズメバチやアシナガバチと違って肉ダンゴにはせず、獲物に麻酔をかけてそこに卵を産みつける。獲物は生きたまま徐々に食べてられてしまうので考えようによっては寄生バチと言えなくもない。
 性格はいずれもおとなしく、直接手でつかんだりしない限り刺されることはない。たとえ刺されたとしても、このてのハチの毒針は攻撃用ではなく幼虫の食料となる虫を動けなくする麻酔注射なので毒性は弱く、痛みもすぐに収まる。人間がしびれて動けなくなることや卵を産みつけられて食べられてしまうこともない。
 とはいえ刺されれば少しは痛いし、もしかしたらなんらかのアレルギー症状が出ないともかぎらないので、素手でつかむのはやめたほうがよい(実際、手づかみして刺されたことがある)。
ツチバチ
・ツチバチの仲間
ベッコウバチ
・ベッコウバチの仲間
ドロバチ
・ドロバチの仲間
アナバチ
・ジガバチの仲間


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 花の蜜や花粉が主食のハチ 
 幼虫には花の蜜や花粉が与えられる。ミツバチやマルハナバチのように集団生活をするものがよく知られているが、実際は雌が単独で営巣する種が圧倒的に多い。
 性格はおとなしく、ミツバチなどの集団生活をするハチは巣を刺激した場合に攻撃してくることがあるが、それ以外は素手でつかんだりしない限り刺されることはない。
ミツバチ
・ミツバチ
マルハナバチ
・マルハナバチの仲間
クマバチ
・クマバチ
オオハキリバチ
・オオハキリバチ


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