新潟でみられる野鳥
ツバメ Hirundo rustica 燕 (ツバメ科)
日本で最もよく知られている夏鳥の一種ではないかと思う。 雌雄ほぼ同色だが、雄のほうが尾羽がやや長く、つがいを見比べると判別できる。 幼鳥は成鳥に比べると尾羽が短く、額や喉の赤茶色は淡い。頭部や背中の青色の光沢も少ない。尾羽が短いので飛んでいるときのシルエットではイワツバメと区別がつけにくい。 新潟県内に渡って来るのは例年4月の初め頃で、雪どけが早ければ3月末にもやって来る。 平野部および山間地の、人の出入りがある建物の軒下や壁の天井近壁くに巣を作る。巣材は泥が主で、枯れ草を繋ぎに使う。 イワツバメのような集団営巣をすることはほとんどない。 ちなみに中華料理食材として使われるツバメの巣は、このツバメの巣ではなくアマツバメ科のアナツバメの巣であるという。泥でできたツバメの巣を間違えて食べる人はいないと思うけど念のため。 ツバメの巣は修復しながら何年か使い続けられ、その巣を使うのは前年と同じツバメかその子供といわれている。たしかにうちにやってくるツバメは、春先に渡ってきて出入口(繁殖期だけ隙間を開けておいてやる)が開いてないと近くで開けてくれるのを待っている。開けてやると、待ってましたとばかりに入って来ることから、昨年の親鳥かここで生まれた個体であることは間違いないと思う。 最初からつがいで訪れることはなく、雄が先にやってきてしばらくは一羽で寝泊まりしていることが多い。この時はまだつがいが形成されていないのかもしれない。
完全に巣立つと、親鳥とともに広いアシ原などをねぐらに数百羽からときに千羽以上が集まることもある。 県内で秋にツバメを見るのは9月末か10月初め頃までで、9月も後半になると幼鳥ばかりになる。成鳥は幼鳥を置き去りにして一足先に南へ渡ってしまうらしい。 夏の暑い日中にアスファルトやコンクリートの路面に集団で座り込んでいることがあるが、がまん大会だろうか? 繁殖率が高く、これといった外敵も見あたらないツバメだが、日本に渡って来るツバメが年々増えている様子はない。数的に飽和状態なのだろうか? 昔々、人間が今のような家を作る以前はいったいどこで営巣していたのだろう?
・腹部や胸がサビ色をおびたツバメをまれに見かけることがある。日本より北で繁殖する亜種ともいわれているが、詳しいことは不明。
(写真右) 胸腹が、まだらにサビ色のツバメ。このようなツバメは体羽の換羽期によく見かける。アカハラツバメとの関係は不明。
(写真下) 日光浴。こんな態勢でよくバランスを崩さないものだ。 |