ウ科の鳥 は県内ではカワウ、ウミウ、ヒメウの3種がおもに見られる。いずれも黒っぽい鳥で、首が長め、クチバシは細い。巧みに潜水して魚を捕らえる。
 最もよく見られるのがカワウとウミウで、両者は姿形がとてもよく似ている。一番の違いは生息環境の違いだが、カワウが海水域にいることもあったりして遠目には識別が難しい。



カワウ
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新潟でみられる野鳥 

カワウ 
Phalacrocorax carbo

河 鵜 (ウ科)



 県内では年中見ることができる。晩秋から春先にかけて特に多く見かける気がするのは、幼鳥が巣立って個体数が増えるせいか。
 おもに川や湖などの淡水域に棲息し、波の静かな港湾内などでも見ることがある。


 ウ科の鳥に共通して水上ではかなり体を沈めた状態で浮いている、というかもともと浮力があまりないため体の半分以上が沈んでいる。水中を自由に泳ぎ回るにはそのほうが都合が良いが、水上から飛び立つのに少し難儀をしなくてはいけない。
 また羽の撥水性がよくないのか、陸上で翼を広げたままじっとしている光景をよく見かける。
 足は体のかなり後方に生えているため、地上や樹上などでは必然的にペンギンのように突っ立った体勢をとる。

カワウ
 12月 (↑ クリックで拡大)
カワウ飛翔
 成鳥は繁殖期に入るころに足の付け根あたりや頭部に白い羽毛が生え、クチバシは黒っぽくなる。
 若鳥は全体的に黒褐色で、喉から腹にかけて白っぽいがその度合いにはかなり個体差が見られる。

 営巣は樹上にコロニー(集団営巣地)を形成し、サギ類とコロニーを共にすることもある。
 全国的に個体数が増加傾向にあるらしく、漁業関係に被害が出て問題になったりしている。
 県内では今現在、大規模な営巣地は確認されていないようだが、以前よりたくさん見かけるようになった気がする。(2004.)



ウミウ
 右端の1羽 成鳥繁殖羽 3月

新潟でみられる野鳥 

ウミウ 
Phalacrocorax filamentosus

海 鵜 (ウ科)



 おもに海水域を住処とする鵜(ウ)で、海岸の岩場やテトラポットなどにとまってボ〜ッと遠くを見つめている姿を見ることが多い。まれに海岸近くの湖沼など、淡水域に入ることもあるという。
 県内では留鳥だが、コロニーから離れた地域ではあまり夏には見られない。県内では粟島にコロニーがあるという。(2004.)
 樹上に営巣するカワウに対し、このウミウは岩場にコロニーを形成する。


 よく似ているカワウとの外見上の違いは、顔の露出した黄色い部分の形で、カワウよりも口角が尖っている。羽色は両種とも光沢のある黒だが翼や背面はカワウのほうがやや茶色味がかって見ることが多い。ただ光線の加減で色は違って見えるし、ウミウでも若鳥や幼鳥は褐色なので、遠目には両種の識別が難しい。

 成鳥は繁殖期に入るころ、カワウと同じように足や足の付け根あたりおよび頭部が白くなり、クチバシは 黒っぽくなる。
 若鳥はカワウの若鳥と同じように全体的に黒褐色で、喉から腹にかけて白っぽく、その度合いにはかなり個体差が見られる。
ウミウ若鳥
右から2番目は成鳥 その他若鳥。いろいろなパターンがある。
ウミウ若鳥飛翔
飛翔時はカワウより尾が短い印象を受ける

 鵜飼いに使われる鵜はカワウではなくウミウだという。川漁なのになんでウミウなのか?





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