ハクチョウ は越冬のため日本に渡って来る大型の水鳥で、新潟県内では毎年1万羽以上が冬を越している。そのほとんどはオオハクチョウとコハクチョウで、なかにアメリカコハクチョウが少数混じる。
 コブハクチョウも池や河川などで見かけることがあるが、放飼いにされているものか、それが逃げ出して野生化したものらしい。
 県内へのハクチョウの飛来は10月上旬頃から始まり、新潟市およびその周辺平野部で多く見られる。
 湖沼や大きな河川などをねぐらにし、昼間は周辺の田んぼでゴロゴロしている。山地に近い平野部では3月末頃まで姿を見ることができる。



オオハクチョウ
 瓢湖 1月 地下足袋姿が似合わない
新潟でみられる野鳥

オオハクチョウ
Cygnus cygnus

大白鳥  (カモ科)



 コハクチョウより一回り大きく首もやや長い。クチバシの黄色い部分はコハクチョウより多い。
 若鳥はコハクチョウの若鳥同様に全身の羽根が灰色をしている。

 県内へはコハクチョウより一歩遅れて渡来し始める。
 昼間は集団でねぐら周辺の田んぼへ採餌に出るが、コハクチョウに比べると湖沼などに残って水草などを採ったり、人間に与えられたエサを食ていべるものも多い。

オオハクチョウ若鳥
 若鳥 2月
 編隊を組んで飛行する姿は、純白のジェット戦闘機のようで思わず見入ってしまうが、陸に上がったときの黒い地下足袋姿はいただけない。これはオオハクチョウに限ったことではないのだが・・

田んぼでエサを摂るオオハクチョウ



新潟でみられる野鳥 

コハクチョウ 小白鳥  (カモ科) 
Cygnus columbianus bewickii
コハクチョウ
瓢湖 右にいるのはオオハクチョウ。 

コハクチョウ2
アメリカコハクチョウとの交雑?
 オオハクチョウより一回り小さく、首もやや短め。比べると明らかに小さいが、単独でいる場合はわかりにくいかもれしない。若鳥はオオハクチョウの若鳥同様に全身の羽が灰色をしている。
 クチバシの黄色い部分がオオハクチョウより少なく、個体によって形に変異があるので(特に鼻スジ部分)一時的な個体の識別に利用できる。遠目には一瞬アメリカコハクチョウと見間違うくらい黄色部分の少ないものもいる。

 県内への渡来数はオオハクチョウよりも圧倒的に多いようだが、昼間はほとんどがねぐら周辺の田んぼへ出かけるので、昼間の湖沼にはオオハクチョウのほうが多いこともある。



アメリカコハクチョウ
 瓢湖 11月
新潟でみられる野鳥


アメリカ
コハクチョウ

Cygnes columbianus columbianus

アメリカ小白鳥

(カモ科)

 一般にアメリカコハクチョウはコハクチョウの亜種とされているが別種とする説もある。

 コハクチョウとよく似ているが、クチバシの黄色い部分が目ヤニくらいしかない。この黄色い部分の大きさは個体によって多少違いが見られるようだ。
 体格はコハクチョウよりわずかに大きめで、単独ではわからないが並ぶと少しだけ大きいのがわかる。

 やや稀な鳥で、コハクチョウの群れに混じっている場合が多い。



コブハクチョウ 瘤白鳥  (カモ科) 
Cygnes olor
コブハクチョウ
瓢湖 

 オオハクチョウよりもやや大きい。クチバシの大部分は橙色で、先端と基部が黒い。名前の由来はこのクチバシ基部のふくらみだろうか。

 大きな河川や湖沼に季節を問わず出没するが、野外で見かける機会は多くない。しかもそのほとんどは海外からの飛来ではなく、飼われていたものが逃出したものらしい。自然繁殖も行われているという。海外からの飛来かどうかの判定は難しい。

 首が細長く、姿勢が優雅なので観光地の湖沼にはうってつけ。けっこう絵になる。だけど瘤白鳥(コブハクチョウ)っていう和名はどうもコブ取り爺さんみたいでイメージにそぐわない。他に考えられなかったのか。

鳥の一覧へ


Field note 目次へ